漱石の名作「こころ」
学生時代の教科書にクライマックスの部分が載ってたりするけれど、若い頃はこれがそんなに名作?いや、うんざりだし全文は読まないし、って感じなんだけれど、年を経て酸っぱい事を色々経験すると、これの名作ぶりが幾らかでも理解できるようで、ちょっと買って全文読んでみるかな、って気になる^_^
書評には明治の精神がどうとか語られているけれど、僕にはそんなのはまったく感じられない。
この作品から強く受けるのは、中国の古典でも語られている「天知る地知るなにより自分が知っている」で、卑怯な謀略や恥ずかしい行いの痕跡は隠したつもりでも自分の心が覚えていて追いかけて来て我が心を蝕んでゆく、って事。
恐ろしい、、Kを追い詰めた先生の卑劣な行為は、その行為により得られた幸せを投げ打ち死を選ぶほどにまで後々まで先生の心を腐らせた。と僕は解釈したよ。
他には、先生の父の死にまつわるところで、若い頃読んだ時には読み飛ばすくらいに共感できなかったのが、自分が親の死を経験してこれを読むとばっちり共感できる。
小説って、読み手の人生経験次第で解釈が変わってくるんだなぁ