高校生読書感想文課題図書の一つ、濱野京子『この川の向こうに君がいる』は、震災被災者の心情を、吹奏楽部を主舞台にしながら描いています。
「川」は、被災当事者とそうではない者、また被災当事者同士でも被災内容や程度が異なる者、を隔てる越えがたい認識の差を顕しているようです。
被災当事者ではない者は、いくら「やさしくあろう」などとは考えても、被災当事者と同じ視点にまでは立てないこと、また、「被災者」とひとくくりにはできず、被災当事者の間でも被災状況・程度の差によりそれぞれの視点はひどく異なっている有り様が記されていました。
同じものを目にしても、見る側の経験・思想によりそれがどう見えるのかは異なるようです。